報告:笠戸丸表彰式

記:2018年9月4日

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ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の表彰小委員会は、8月24日、文協大講堂にて、笠戸丸表彰式を執り行いました。

「笠戸丸表彰」とは、2008年のブラジル日本移民100周年の際、ブラジルにおける日系コミュニティの発展または、日伯関係の向上に貢献した個人および法人に対して授与されたのが始まりです。

ブラジル日本移民110周年を記念する本年は、ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の表彰小委員会(桂川富男委員長)が中心となり、110周年にちなんだ110名を選出しました。同委員会は今回の笠戸丸表彰の対象条件として「70歳以上で、日本政府からの勲章を受け取った事のない人」という基準を設け、ブラジル全土から推薦を募ったところ、189名もの候補が寄せられたため、選出には大変な労力を要しました。厳選なる審査の結果、バイーア州、パラナ州、ミナスジェライス州、サンパウロ州、リオデジャネイロ州、リオグランデドスル州、サンタカタリナ州と、広範囲に及ぶ地域より個人78名、法人21団体、故人11名の、計110名を選出しました。

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 授与式

当日、多くの受章者には家族が同行するとともに、それぞれの友人や知人などもお祝いに駆け付け、文協大講堂は合計800名の人々で溢れ、温かな祝福のムードに包まれました。110名の受章者のうち、遠方、バイーヤ州における3名に対しては、同州で開催される日本祭りでの授与式とするため当委員会役員が同州へ赴いたことを除き、欠席はたった1名のみでした。
サンパウロ州当局からは、在サンパウロ日本国総領事館の野口泰総領事を始め、元駐スペイン大使であり現在は公益財団法人海外日系人協会の理事長の田中克之氏や、今回の受章者でもある元大臣のロベルト・ロドリゲス氏に加え、日系主要団体の代表者が顔を揃えました。
ブラジル日本移民110周年記念祭典委員会の呉屋春美祭典委員長は「地域社会および国を改善していくために尽くされた絶え間ない努力に感謝の意を表します。」と受章した個人および団体へ心からの賛美をおくりました。また「本日受章された方々は、汗を流し、献身的に社会に尽くされた人生をおくられ、本日のこの輝かしい瞬間を自ら作られました。またこの瞬間は、ブラジル日本移民110周年という誇りを胸に抱くと同時に、より輝かしい未来に向けての出発の時でもあります。」と述べ「今日のこの笠戸丸表彰は、私たちからのそれぞれの主人公に対する、感謝の気持ちを表すためのものです。」と話しました。

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続いて、同委員会菊地義治実行委員長は「私たちは、三世、四世の世代と関係を深め、文化を継承させていく責任があります。」と語り、「ブラジル日本移民110周年の偉大な記念式典が盛会の内に終了した次に本腰を入れるのは、110周年記念のレガシーと位置づけたサンロッケ市の国士舘大学スポーツセンターの完成です。ここは未来の日系社会において重要な場所となるでしょう。ここを残すことは私たちの未来に対する使命です。」と話しました。
次に、ブラジルの政治家を代表して挨拶に立った野村アウレリオ議員は「『感謝と尊敬の気持ち』これは私たちが両親から受け継いだものです。そして今度は、我々が我々の子供たちに伝えていかなければなりません。」と話しました。
元農業畜産大臣でもあり、農業の企業家、そして教授でもあるロベルト・ロドリゲス氏は「ブラジル社会がもつ日系人へ対する尊敬と賞賛は大きいが、日系人がブラジルに捧げてくれた愛に比べればまだまだ足りない。」と、日系人に対して敬意を払いました。
一方、汎ソロカバ日伯文化協会の纐纈(こうけつ)俊夫会長は、今回の笠戸丸表彰の受章者の一人であることは “誇り”であると述べ「これからますます、若者と老人とが力をあわせてがんばりましょう。」と話しました。

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表彰小委員会の桂川富男委員長は、受章者へお祝いの言葉を述べるとともに、この表章式のために協力した全ての人々へ、感謝の気持ちを伝えました。そしてドイツの劇作家であり詩人でもあるベルトルト・ブレヒトの「この世を去るとき、自分が良い人間であった、と言うだけでは不十分である。よりよい世界を残した、という事が重要である」という名言を引用し、受章者の労をねぎらいました。
日本政府の代表として挨拶に立った、在サンパウロ日本国総領事館の野口泰総領事は「ここブラジルにおいて、確固たる信頼の基盤を築き上げた日本人移民に対し敬意を表明すると共に、ブラジル社会の発展に、日本人の子孫がこのように大きな貢献をしたことを非常に誇りに思います。」と述べました。また、来年の4月30日をもって天皇陛下が御退位され、新たに皇太子殿下がご即位されることや、2020年には東京オリンピックの開催が控えていることに触れ、日本は変化の時を迎えているとも話しました。

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式典終了後はカクテルパーティ会場に場所を移し、受章者は互いに功労を称え合ったり、写真を撮るなどしながら始終和やかな雰囲気に包まれていました。
写真提供:Jiro Mochizuki

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