文協国士舘公園
体育館、マレットゴルフ用コース、千本の桜
これまでの経緯
「ブラジルに武道大学設立を」
このような目的を持ち、日本の国士舘大学がサンロッケ市(サンパウロから約51㎞西方面)の土地を取得し始めたのは、1980年のことでした。
同大学は徐々にサンロッケ市の土地を購入し現在の面積(58ヘクタール)にまで拡張、1982年には事務所や寄宿舎を備えた2000㎡の立派な武道館を完成させました。
また同公園の敷地には3箇所の水源があり、その3分の1が未だ原生林に覆われたままの状態を保つなど豊かな自然に満ちています。
しかし、1996年になると経済的に厳しい状況に陥り、ブラジル国士舘大学は閉学を余儀なくされました。
翌年にはその所有権が文協へと譲渡され、それ以来同公園の運営は文協の課題となっています。
文協理事会は、この場所を持続可能な施設とするために、何度も会議を重ねました。
そんな文協国士舘公園での代表的なイベントと言えば毎年7月に行われる「文協桜まつり」です。
毎年2万5千人以上の来場者で賑わうこの桜まつりは、サンロッケ市公式カレンダーにも記載されるほど、市をあげてのイベントとなっています。
さらに 2020年には「未来への桜プロジェクト」と題して287本の桜の苗木が新たに植樹されました。
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また、敷地内には武道館の他に18ホールのマレットゴルフ用コースや、コチア青年連絡協議会が建設した茶道室と日本庭園も備えています。
2018年に「ブラジル日本移民110周年」を記念するために組織された同祭典委員会は、この公園を「110周年記念遺産」と位置付けると決定し、同祭典事業に対する資金調達キャンペーンで得た収益金の一部を同公園の開発計画に割り充てると発表しました。
このプロジェクトでは、大、中、小規模のエリアにそれぞれのイベントに対応するパビリオンを建設することに加え、グルメ村や憩いの広場、原生林を活かしたハイキングコースの設置等が計画されています。
その中で、まずは中規模エリアの「原沢和夫パビリオン」の建設から着手しました。
ここで「原沢和夫パビリオン」命名の由来にも触れたいと思います。
原沢和夫氏は文協創設者のうちの一人であり、文協評議員会会長および同審議会議員を歴任し、2017年半ばに92歳で他界されました。
原沢氏はお亡くなりになる直前まで同プロジェクト構想案の説明を受けるなど、常に日系社会のあり方、特に同公園を持続可能な施設に改善し、日系社会全体で活用できるようにするべきと尽力されていました。
「残念ながら父は、生きてこの夢を実現することができませんでしたが」と、息子の原沢カルロス氏は原沢夫人のかねこさんと共に、同プロジェクト完成に向けて100万レアル(約28,000,000円)の寄付をお寄せ下さいました。
その志を受け継ぐ形で、文協理事会は第一号パビリオンを「原沢和夫パビリオン」と命名することを決議しました。
原沢和夫パビリオン完成予定図
原沢 和夫 氏
新潟県に生まれた原沢和夫氏は、戦後、マリリア市在住の兄の呼び寄せにより、1952年に渡伯。 その翌年に、サンパウロ市内の市営市場近くに穀物商「原沢兄弟商会」を設立し、仲買商を営みました。 文協には創設当初から携わり、「創設会員」として評議委員会長や日本館副館長などの要職を歴任しました。 また、サンパウロ日伯援護協会の会員としても、やすらぎホームや日伯友好病院の建設の初期から携わり、1992~94年まで第4代会長を務めたほか、救済会憩の園においても、およそ25年間理事を務めるなど、日系社会において文化、福祉をはじめとする、あらゆる分野で尽力されました。 その功績が認められ、1997年秋の叙勲で勲四等瑞宝章を受章されました。 2017年8月13日の早朝、老衰により92歳で永眠されました。
「文協国士舘公園の持続可能性を確保する。」この挑戦には、それ以外の重要な展開も含まれています。
同公園が所在するサン・ロッケ市はもともと観光地として知られていましたが、近年、今後益々観光都市としての存在を高めようと、市を挙げての取り組みが開始された、大変恵まれた立地条件の中に位置しています。
3分の1が未だ原生林に覆われたままの状態を保ち、3箇所の水源を有する自然豊かな同公園の存在は、同市による観光都市計画との相乗効果を齎すことは間違いありません。またこれは、日本の象徴である「桜」の公園としてより多くの人々に認知されることを願っています。
同公園の持続可能性を実現するための「未来への桜プロジェクト」に賛同しご協力くださった皆様は、単に同公園への持続可能に対してだけでなく、日本文化普及に対する貢献者として、記録されると言っても過言ではありません。心より感謝申し上げます。
ブラジル日本文化福祉協会 会長 石川レナト
2020年9月27日
「未来への桜プロジェクト」に賛同し、迅速に支援してくださった方々に、心より感謝申し上げます。
このプロジェクトを成功させるために、計画から手配に至るまで、快く協力して下さった多くのスタッフに対しても感謝の意を表したいと思います。
このプロジェクトは、パンデミックにより窮地に陥った同公園の維持費捻出および、文協創立65周年記念として、新たな桜並木を形成することにより日本文化との関わりをさらに深めることを目的としています。
ご協力、ありがとうございました!
文協国士舘公園運営委員会 委員長 ウエダ・マサミ
2020年9月27日
Local: Estr. Mun. do Carmo, 801, São Roque – SP
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